ボスニアヘルツェゴビナ柔道指導報告

2019年05月15日

2019年2月13日~20日まで、ボスニア・ヘルツェゴビナのモスタルへ、光本健次国際担当師範、原口直也氏(UAE柔道連盟)、ジョージ・ブンタキス氏(ギリシア)、学生ボランティアとして渡邊勇さんを派遣し、JICA主催で行われたコーチングセミナーを支援しました。

学生ボランティアの渡邊勇さんより、報告が入りました!

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ボスニア・ヘルツェゴビナ学生ボランティア派遣事業
東海大学体育学部武道学科2年 渡邉勇

 この度私は東ヨーロッパのバルカン半島にあるボスニア・ヘルツェゴビナに2019年2月13日~21日までの間、柔道技術指導のためのため行ってまいりました。ボスニア・ヘルツェゴビナは約20年前までは深刻な紛争があった場所で、復興が進んだ今でも街の建物にはおびただしい数の銃痕が残っています。その紛争は、ユーゴスラビアからの独立時にボスニャク人、クロアチア人、セルビア人の3つも民族が対峙して起こったものであり、現在治安に問題はないがそれぞれの民族で居住区が違うなど国内の状態は決して良い状態ではありません。そのような中で国内の柔道指導者体制が安定していないのが現状です。こういった状況を少しでも改善させるための融和政策として、モスタルスポーツ協会、JICAと協力しコーチングセミナーを開催することになりました。光本先生にこの事業にアシスタント学生として参加しないかと誘っていただいた時は、柔道を通して世界の平和に少しでも貢献できるのではないかととても嬉しい気持ちになりました。私以外は、光本先生をはじめとしてUAEのジュニアコーチをしている原口直也さん、一昨年の東海大学柔道ソリダリティーのコーチングセミナーに参加したジョージ・ブンタキスさんといった指導者として第一線で活躍している方々が指導に参加するということで気を引き締めていかないといけないと思いました。
 16日と17日の2日間でボスニア・ヘルツェゴビナの約50人の指導者を対象にコーチングセミナーを行いました。会場はモスタル市内小学校体育館を使用し、参加者はまだ現役の若い選手もいれば60歳を超えたベテランの指導者までいて年齢層が幅広かったです。中にはジョージさんと一緒に東海大学のコーチングセミナーに参加していたマルコさんもいました。最初のセミナーでは映像資料を使って光本先生が柔道の歴史・精神、そして指導者としての心構えを説明してから、基本動作の受け身などの指導法で午前は終了しました。午後は立ち技の基本動作と練習法の指導をしました。2日目は寝技の基本動作と練習法を午前に指導し、午後はメンタルトレーニングと国際ルールの講習会を行いました。光本先生は全ての指導法において指導対象の年齢層を明確にしており、初心者、ジュニア、シニアのケースで分けて段階的に説明することで、現地のコーチの方々も理解しやすく興味を持って取り組んでいたと思います。2日間のセッションがすべて終了し、最後に修了証を参加したコーチの皆さんに修了証を授与しました。そして、私たちにも感謝状のようなものをいただき、最後に記念写真を撮りました。活動最終日には柔道普及を目的とした柔道教室を現地の小学生に行いました。基本的な受身や寝技、柔道の動きを取り入れたゲームなどをして子供たちはとても楽しそうにしていました。中でもしゃがんでいる子供たち6人を飛び越える受身のデモンストレーションはとても好評でした。その日の夕方に地元の各道場が集まった合同練習でモスタルでの活動は終了しました。海外の方々に指導する先生方を間近で見て非常に勉強になり、個人的に質問に来た方に私も教えることが出来てやりがいを感じました。
 10日間アシスタント学生として光本先生と行動を共にし、達成感を得たと同時に柔道だけではなく世界遺産や紛争の傷跡を見学させていただいて自分自身の見聞を広めることができました。柔道を通した国際交流で様々な方々と触れ合い、温かく接していただいてボスニア・ヘルツェゴビナという国と人々が大好きになりました。今回このような機会を与えてくださった柔道ソリダリティーの皆さま、JICA専門家の辻康子さんに並びに関係者の方々に厚くご御礼申し上げます。誠にありがとうございました。

【修了式後の集合写真】

【世界遺産のスタリ・モスト(古い橋)】