アナポリスに指導者を派遣しました!

2019年04月15日

2019年3月16日~4月4日の期間、アメリカ、アナポリス・ジョージワシントンへ國學院大學柔道部コーチの川上智弘氏を派遣しました。

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派遣報告書

國學院大學柔道部コーチ 川上智弘

平成31年3月16日(土)~4月3日(水)の間に派遣していただいた首都ワシントン地区のジョージタウン大学ワシントン柔道クラブ(以下、ワシントン柔道クラブと略)及びアメリカ海軍士官学校における柔道指導について報告をさせていただく。

活動内容のスケジュールとしては月、水、金曜日がワシントン柔道クラブ、火、水、木曜日がアメリカ海軍士官学校での指導というものであった。事前に、今回の滞在でお世話になった、海外での柔道普及に長年ご尽力されている古森義久氏(産経新聞ワシントン駐在客員特派員)より、両チームの練習や試合の映像をいただき、2種類の練習方法、指導事項を準備し臨んだ。
 ワシントン柔道クラブは、柔道初心者から各国のナショナルチーム代表経験者合わせて50名程度の幅広いレベルの柔道家が集まるクラブチームであった。2時間の練習時間において、初回を除いてすべての指導と練習の進行を任された。月、水曜日は上級者向けの連絡技や細かい組手の技術などの指導に時間を割いた。小中学生が多い金曜日は、技の基本を中心に参加者のレベルに合わせた指導を行った。同クラブでの1番の要望は実際に乱取り稽古に参加して欲しいということであった。日本から指導者として派遣されている身分として、依頼されたことを断るわけにはいかない。もちろん負けるわけにもいかない。彼らも私を倒そうと目の色を変えて向かってくる。勝手ながら国際大会に出場する日本代表という気持ちで、毎回稽古に臨んだ。何とか面目は保つことはできたと思う。しかし真剣勝負が終われば同じ柔道家としての仲間である。言葉が通じなくても、皆笑顔で歓迎してくれた。

 

 首都ワシントンから車で1時間ほどのメリーランド州アナポリスにあるアメリカ海軍士官学校は、初級から中級者の20名程の部員が在籍し、1時間半全ての時間を任された。乱取り稽古は15分程度に抑え、受け身、柔道着の握り方や姿勢、基本の技の形の指導を中心に行った。単純に技を指導だけではなく、この先も彼らが自分達で継続できる練習方法を伝えることにも注力した。指導する中でアメリカの海軍や海兵隊の将来を担う人間達の姿に感銘を受けたことがある。道場に向かうと、全体練習の前から前回の復習、技の確認に励んでいた。そのような姿を見ると、自ずと一層指導に力が入った。計7回の練習で、見違える程強くなったと古森氏、アメリカ海軍士官学校に日本の海上自衛隊から出向している前山一歩教官からお褒めの言葉をいただいた時は嬉しかった。
 アメリカ海軍士官学校での柔道教育ソリダリティーからの柔道指導者派遣には2011年3月の東日本大震災の直後にアメリカ海軍が総力をあげて日本の被災地での救援活動(トモダチ作戦)を実施してくれたことへの感謝の意を表明する意味も含まれているという。私もその謝意表明の任の一端を果たせたとすれば、うれしい限りである。

 
 私は今まで強くなる為に柔道に取り組んできた。しかしこの18日間は柔道を知ってもらうという視点で望んだ。この期間で新たな大きな2点を発見した。1点目は、日本柔道への尊敬を強く感じた。柔道クラブの会員の方に、ホワイトハウスや最高裁判所への特別な招待を受けた。一流選手でもない私がこのような扱いを受けたのは間違いなく日本人柔道家への敬意の表れであるだろう。日本発祥の柔道が異国の地で愛され、これほど敬意を持たれている事実は、国内では決して感じることのできない点である。山下理事長や古森氏をはじめ、多くの諸先輩方が世界中に普及させてきた柔道に携われてこられた事を誇りに思い、今後も微力ながら役に立てればと感じた。2点目は、アメリカでは成人から始められる武道として柔道が認知されていた。その理由として柔道を純粋に楽しめる環境があると感じた。例えば休日に地域の試合の見学にむかうと、勝ち負け関係なく試合数がこなせるリーグ戦形式を採用していた。また、体重が軽ければ2階級に登録可能という面白いシステムもあった。参加されている方々の特徴として、弁護士や医師など一般的に社会的地位が高いとされる職業の方が多いことも発見であった。彼らにその理由を聞くと、柔道の思想や奥ゆかしさなどに興味を持ち、のめり込んだという答えが返ってきた。柔道人口減少が危惧される日本でも環境の違いはあるものの、それらにヒントがあるのではないかと感じた。

謝意
NPO法人柔道教育ソリダリティー最後の派遣という大役に海外指導歴のない私を抜擢、そして派遣につきましてご尽力いただいたソリダリティーの皆様、ワシントン滞在時にお世話になった古森義久・スーザン夫妻にこの場をお借りして感謝申し上げます。今回得た経験を基に柔道教育ソリダリティーの「柔道・友情・平和」の基本理念を受け継ぐ柔道家として、恩返しできるよう精進して参ります。
 

ワシントン柔道クラブの集合写真

    
アメリカ海軍士官学校の集合写真