ボスニア・ヘルツェゴビナへ指導者を派遣しました!

2019年03月01日

2019年2月13日~20日まで、ボスニア・ヘルツェゴビナのモスタルへ、光本健次国際担当師範、原口直也氏(UAE柔道連盟)、ジョージ・ブンタキス氏(ギリシア)、学生ボランティアとして渡邊勇さんを派遣し、JICA主催で行われたコーチングセミナーを支援しました。

原口直也氏より、報告が入りました!

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光本健次師範 ~柔道で民族融和~ ボスニア・ヘルツェゴビナ

2019年2月13日~20日まで、ボスニア・ヘルツェゴビナのモスタルへ、光本健次師範のアシスタントとして同行させていただきました。今回のプロジェクトは、JICAが実施する『スポーツ教育を通じた信頼醸成プロジェクト』及びモスタル市スポーツ協会の共催、ボスニア・ヘルツェゴビナ柔道連盟とNPO法人柔道教育ソリダリティーの協力の下、柔道を通し国内の民族融和を目的としたプロジェクトでした。


さて皆さん、ボスニア・ヘルツェゴビナと聞いてもピンと来る人は少ないのではないでしょうか。私も名前を聞いたときはピンときませんでした。では、『旧ユーゴスラヴィア』や第一次世界大戦の引き金にもなった『サラエボ事件』と聞くとご存知の方も多いのではないでしょうか。第一次世界大戦やサラエボ事件は、社会の授業で必ず習う歴史的事件ですよね。 
スポーツでは1984年に冬季オリンピックがサラエボで開催されています。ボスニア・ヘルツェゴビナは極めて珍しい国でもあります。国内には、ボシュニャク、クロアチア系、セルビア系の3つの民族が存在します。一番驚いたことは、3つの主要民族から1名ずつ選ばれた3人の大統領が存在し、8ヶ月に一度輪番で議長となり、いわゆる国家元首を交替しているという事。私には想像がつきませんでした。その原因になったのは、1992年から1995年に起きた民族紛争です。約30年前の出来事です。現在でも、町の中には、銃跡や爆撃の跡、破壊されたビルなど、紛争の爪痕が生々しく残っていました。私たちは、紛争当時、ボスニャック勢力とクロアチア系勢力が激しく衝突したモスタル市にて今回のコーチングセミナーを行いました。
コーチングセミナーには、ボスニア・ヘルツェゴビナ国内から約50人が参加しました。勿論、参加者の中にはボスニャック、クロアチア系、そしてセルビア系が混ざっています。2日間という短い時間ではありましたが、1分、1秒が無駄にならない、参加したコーチ陣にとっては、内容の濃いセミナーができたのではないでしょうか。セミナーには、柔道世界ランキング上位のCeric Larisa選手の姿もありました。NPOの2017年度コーチングセミナーに参加したマルコ先生とハナ先生も本セミナーに参加し、光本師範はいつも以上に気合が入っていたご様子でした。今回も私は光本師範のアシスタントとして、微力ながら必死にサポートさせていただきました。初めて会うコーチ陣を一気に虜にする師範の指導は圧巻です。アシスタントとして参加させていただきましたが、いつもの事ながら、参加コーチと同じ目線で改めて学ばせていただいております。

  
今回のセミナーに参加して、改めて柔道は世界を変えることができると希望を感じることができました。紛争を経験しているコーチも数多くおり、私たちには想像のつかない経験をしています。まだまだ、民族融和には時間がかかることでしょう。しかし、今回のようなプロジェクトを通して、今の子ども達が大人になるころには、より良い社会が実現できていることを願っています。
2日間のセミナーの後は、柔道を知らない次世代への柔道教室を行い、40人の小学生が参加しました。礼法から実戦的な柔道の技まで、初の柔道体験を子どもたちは歓喜雀躍の様子で楽しんでいました。その後、ボスニア・ヘルツェゴビナ柔道連盟やオリンピック委員会、日本大使館へも同行させていただきました。ご対応くださったみなさまには、貴重なお話、お時間をいただき感謝いたします。JICAプロジェクト専門家の辻康子さんにも、期間中、朝から晩までお世話になり、国の事やサラエボ、モスタルの事など詳しく教えていただきました。今回のプロジェクトが成功したのも辻さん無しでは語れないと感じました。
最後に、この様なプロジェクトにアシスタントとして参加させていただき、柔道以外でも学ぶ事が多く、貴重な経験をさせていただき感謝しきれない思いであります。これからのボスニア・ヘルツェゴビナ柔道の発展を心より願っております。
 
UAE JUDO FEDERATION
原口 直也