ボランティア学生、石﨑信太郎さんの報告です。

2017年09月26日

2017年8月28日~9月11日の期間、光本国際担当師範及び学生ボランティアの石﨑信太郎さん(国際武道大学4年)をエルサルバドル・コスタリカに外務省と共催で派遣しました。

ボランティア学生、石﨑信太郎さんの報告です。

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コーチングセミナー報告書(エルサルバドル・コスタリカ) 
国際武道大学4年 石﨑信太郎

渡航期間   2017年8月28日~9月8日
渡航の目的  光本先生(柔道教育ソリダリティー国際担当師範・東海大学教授)が行うコーチングセミナーの学生ボランティアとして
渡航先    エルサルバドル・コスタリカ

今回私が派遣された経緯には、私は今年3月の「全柔連学生ボランティア海外派遣事業」に参加したことがきっかけです。事前研修で光本先生の指導を受けた際、私が海外の柔道指導に関して興味を持っているというお話をしていました。そして今回光本先生のアシスタントの方が急遽行けなくなったこともあり、代わりに私が派遣されることになりました。

■エルサルバドル■ (滞在8日間)

8月28日午後にエルサルバドル、サンサルバドル市に到着しました。空港にはエルサルバドル日本大使館の小谷さんが迎えに来てくださいました。滞在したホテルは「クラウンプラザ」という名前で、大使館と繋がっており安全で落ち着ける場所でした。
翌日、エルサルバドルの樋口大使を表敬訪問しました。
その日には、大使公邸の会食に招待していただき、到着して2日間でとても貴重な経験が出来ているのだと実感し、派遣に対する気持ちがさらに引き締まりました。大使公邸会食では緊張のあまり何を話したか覚えていないですが、今までにない緊張感と、これから始まるコーチングセミナーを楽しみに感じました。
 

【大使公邸会食時の写真:
左から、大使館現地職員の辻本さん、大使館職員の小谷さん、JICAOBで現地に住まわれている久恒さん、大使の樋口さん、そして光本先生と私】

 次の日、サン・マルティン市の柔道場で少年柔道教室を行いました。参加者は約30名で、畳ではなくヨガマットのようなものが敷かれた体育館で柔道をしました。畳以外で柔道をするのは初めての経験でした。
 この日は初めて光本先生の柔道指導の「受」をしました。柔道指導やパフォーマンスで緊張することはなかったですが、光本先生の指導のスピードについていくことが出来ず、あたふたした場面が何度かありました。少し不安になっているときに光本先生が私に、「この子たちに指導できるのは今日だけだ!120%出し切って悔いの残らないように全力で頑張ろうな!」と言われ、気合が入りました。
 そして指導を無事に終え、コーチングセミナーがどのように進んでいくのかということが少し理解出来ました。
 【練習後の集合写真】

到着後、4日目。コーチングセミナー開始です。コーチングセミナーの目的は指導者育成ですので対象者の年齢も必然的に上がります。私より何歳も年配の方に柔道を教えことに変な感じがしました。
コーチングセミナー全体の感想は、エルサルバドルの方々はとても熱心に受講されており、50歳、60歳とご年配の方でも全てのメニューをこなしていました。私が感じたことは、みんなが楽しそうにセミナーを受講されていたと感じます。同年代の日本人の指導者なら避けそうな、ラダートレーニングや、ボールを足の裏でコントロールするゲーム、フラフープでの体さばきの練習なども、皆さん少年柔道を見ているかのように楽しんで受講されていました。
 
【フラフープを使った受け身の指導法】

【受け身の指導風景】

 私は競技と同時に「投の形」の稽古もしております。コーチングセミナーでは、「投の形」の講習と「IJFの新ルールの説明」を担当させていただきました。人前、私よりも年配の方々の前に立って指導をするという貴重な機会でしたので、少し緊張しました。
当日、不安も残っていましたが、皆さんとても熱心に受講して下さり、指導を楽しんで出来ました。

エルサルバドルは危険な地域と聞いておりましたが、ホテルの横は大使館で、移動には常に警察官が同行して下さり、危険を感じることなく終えることが出来ました。現地の柔道連盟や大使館のサポートがあっての安全だったと強く感じました。本当に感謝しています。
 【コーチングセミナー最終日の集合写真】
 【新ルール説明時の風景】

エルサルバドルでのセミナーが終わり、修了式を受講生の自宅で行いました。受講生の皆さんから「ありがとう」と言われ、とても達成感がありました。
 
【エルサルバドル柔道連盟会長と、バルセロナ五輪代表のカルロスさんから感謝状をいただいた】

■コスタリカ■

コスタリカは到着日に表敬訪問を行い、その後、大使公邸会食に招待していただきました。エルサルバドルの時とは違い時差がなかったため、身体的に辛さを感じることはありませんでした。
 コスタリカでは到着翌日よりコーチングセミナーが始まりました。コスタリカではエルサルバドルの時と異なり、コーチングセミナーが夕方から夜にかけて通しで行われました。(エルサルバドルではセミナーは、午前と午後で分かれ、昼休憩もあったため少し休むことが出来ました)。コスタリカでは17時から21時の間に少し小休止を挟むだけで、セミナーの1コマの時間が長く集中力を持続させるのが大変でした。

 コスタリカ2日目午前中は、柔道教育ソリダリティーで行われたコーチングセミナーに参加されたサンチョさんに「ウォーターフォールガーデン」に連れて行っていただきました。そこは、自然豊かな山奥にある動物園のような広大な熱帯雨林を持つ自然公園でした。大きな滝や自然の川が流れ、自然の中で見ることが難しい動物やカエル、蝶、爬虫類、サル、ピューマ等コスタリカの珍しい動物を見ることが出来る場所だそうです。 

その後、コーチングセミナー初日を迎えました。初日の会場はコスタリカのオリンピック委員会の講堂に畳を敷いて行いました。
  【セミナーの開会式の様子】

コスタリカのコーチングセミナー参加者はエルサルバドルより比較的若い指導者の方が参加されていました。私と歳が一つしか変わらない方でもクラブチームのコーチをしていると聞いて驚きました。それを聞いて「私ももっと頑張って、自信をもって人の前に立てるようにならなければならない」と感じました。

 【記者会見の様子】
コスタリカ4日目に記者会見を受けました。会見では「柔道を始めたきっかけ」や「柔道の難しさ」などの質問をうけました。このような正式な記者会見は初めてのことで、とてもいい経験が出来ました。
 【左から、ドゥドリー・ロペス・コスタリカ柔道連盟会長、私、伊藤大使、光本先生】

最終日はコスタリカのコロナド市で、緑帯以下の柔道選手の大会がありました。コスタリカでのセミナー受講生はこの試合に、監督や審判などで携わっているそうで、新ルールの説明の時に、受講生の方から多くの質問を受けました。積極的な姿勢で講義をする私は緊張しましたが、その分やる気も出てより良い講義が出来たと感じました。
 【コロナド市で行われた「ロス・レチェロス柔道大会」】

少年柔道大会の開会式の後に、光本先生の提案で「武道演武をすると良いのではないか」と提案を受け、急遽行いました。内容は、受け身をした後に、得意技の投げ込み、動きながらの投げ込み、絞め、関節を織り交ぜたおよそ5分の演武でした。これがとても好評で、演武の後たくさんの子供たちと写真を撮りました。中には演武を見て「かっこよかった」と直接言ってくれた子もいました。「投の形」の演武の経験はありますが、一人で行う武道演武は初めてだった為、想像が出来ませんでした。
しかし、受け身をするたび、相手を投げるたびに、観客が盛り上がり、子供たちからは拍手され、演武していてとても楽しかったです。
 【演武の様子(投げ込みは現地の中学生が受けてくれた)

【演武の後、私の所に「かっこよかった」とわざわざ伝えに来てくれた現地の小学生】

コーチングセミナー全体の感想
 今回このような機会をいただき、NPO法人柔道教育ソリダリティーの皆さま、たくさんの人の協力の下、無事にセミナーを終えることが出来たことに心から感謝しております。初めて光本先生のアシスタントをさせていただき、戸惑うことも多々ありましたが、私自身いろいろな面で成長できたと感じます。
光本先生はその場でフィードバックを与えて下さりました。良かったところに関しては褒めていただき、改善点はその場で指摘してくださりました。柔道の面だけではなく、私生活の面に関しても指導して下さり、とても良い勉強になりました。光本先生は「良い指導者でなければ生徒に信頼されない」とおっしゃっていました。それを聞いて私も良い指導者になれるように日頃から努力しなければならないと感じました。
私が海外に行って指導したのは、春に全日本柔道連盟の「学生ボランティア海外派遣事業」で派遣されたのが初めてでした。しかし、その時とは違い、指導の対象が指導者であったので私も指導法が分かりませんでした。その為、本来アシスタントですが、受講生の気持にもなって光本先生の指導を見ていました。光本先生は、「常に多くの指導法を頭に入れ、その生徒、道場に合った指導法を選ぶ必要がある」とおっしゃっていました。指導法もフラフープやボールをあえて使い楽しく指導することも大切と話されました。
今回のセミナーで私が一番強く感じたことは「柔道の素晴らしさ」です。柔道をこれまで続けてきたから、このようなたくさんの貴重な経験をすることが出来、海を越えて多くの人々と繋がることが出来ました。言葉が通じなくとも柔道でコミュニケーションを取り、友情を築けることをとても嬉しく思います。
これらもこの経験を活かしNPO法人柔道教育ソリダリティーのスローガンにもありますように、柔道指導を通して友情を築き、世界平和に貢献できる柔道家、指導者を目指していきたいです。