イスラエル・パレスチナへ指導者を派遣しました!

2017年03月06日

2017年2月18日~3月1日の期間、須貝等氏をイスラエル・パレスチナへ派遣しました。報告が届きましたので紹介いたします!

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イスラエル・パレスチナ派遣報告書      

  派遣国 イスラエル・パレスチナ自治区(ヨルダン西岸)

  期 間 2017年2月18日~3月1日(12日間)

   須貝 等 (東海大学体育学部武道学科59年度卒)

 この度、イスラエル・パレスチナ派遣のきっかけは二年前に遡ります。イスラエルとパレスチナの選手が日本での大会(サニックス旗福岡国際中学生柔道大会)に出場する為、来日した際に支援させていただいたのが事の発端で今回の派遣となりました。派遣依頼をいただいた際の正直な気持ちは「紛争・テロ・宗教問題」など悪いイメージでしかなく低調に断る予定でしたが、スタッフの方々の説明より渋々受けた次第でした。
 しかし、出発間近には自身行ったことがない国・柔道を通して何が出来るかを試したい気持ちが湧き出ており、大げさですが「清水の舞台から飛び降りる」覚悟で出発しましたが、到着後街並みや人々を見ていると今までの悪いイメージが払拭され、実際両国共に素晴らしい国でありました。
 イスラエル5日間・パレスチナ5日の期間、各地域で指導を行ってきました。

◆イスラエルでの指導◆
 西エルサレムを拠点とし道場を7道場運営しているデビット氏(パルパズ柔道クラブ代表)が中心となりエラサレム柔道協会の協力もあり、各道場で指導を行ってきました。柔道人気は高く、幅広く柔道が行われている感じを受けました。人気の要素としては世界チャンプ女子63キロ級「ヤーデン・ジェルビ」の存在が大きいと思います。
やはり何のスポーツもそうですがマスコミでのスターを育てる事も人気を保つには必要不可欠だと痛感しました。
 【指導風景】

【将来のチャンプとの稽古風景】
 子供(小学生)で初心者が中心なので基本的な動作「受身・組み手・打ち込み」を教えて、楽しい柔道を心がけ指導してきました。一度に収容する大きな道場がない為、何回にも分けて指導を行い、日/2~5回に分けで指導をしました。少々老体には厳しい部分もありましたが、柔道の素晴らしさ・楽しさを教えることが出来たと思います。
  【集合写真】

 【パレスチナ&イスラエル合同稽古後の風景】
この国内ではユダヤ人・アラブ人とがエルサレムに住んでいながら、決して交わらない生活を過ごしております。
デビット氏によると、文化・習慣・宗教の違いはあるが、柔道を通じて交流をもっとして行きたい。そして次世代に繋げていく事が我々の使命で、将来みんなで柔道ができる環境にと願っていますと語っており、その言葉に重みを感じた次第です。
 今回はエルサレムにあるセリグスベルグ高校でアラブ人村ツール•エルバヘルからの中学生を招き、合同で楽しく稽古を行い柔道の基本動作を指導してきました。アラブ人は柔道衣はありませんでしたが、柔道は面白いと口々に言っていたことが印象的でした。
 イスラエル柔道感想ですが、現状より数年後は期待が持てる国になると思います。子供たちの柔道人気と競技人口の増加、そしてスーパースターへの憧れとがあり、数年後には今以上に柔道強豪国となると感じました。

◆パレスチナ自治区での指導◆
 行く前まではイスラエルとパレスチナというのは国の括りで完全に独立国家のように国境線があり、分断されていると理解をしておりました。イスラエルのエルサレム街でありながら東と西でユダヤ人居住区・アラブ人居住区とが別々で暮らし、支配しているのがイスラエル国となり特別な境はありません。しかし、エスサレムの東に向かうといくつものゲートや壁が出現し、日本ではありえない光景が見え物々しさを実感しました。
 風景や景色はとても綺麗ですが、平和ボケしている私としては緊張感が取り除けない一面もありましたが、実際には危険地域と言われるところに足を踏出さない限りは、安全で美しいところだと思いますし観光に出掛けても安心であり、歴史的にも面白い場所ではあります。
 パレスチナ柔道はイスラエルと比べ大幅に柔道人口が少なく感じます。自治区内で約15~20ヶ所道場があり、柔道人口は約200人との事でした。殆どの道場は空手と兼用で使用している事が多く、空手衣を着た受講者も多々おりました。それは単に人気がある・ないではなく、したくても出来ない要因があるからだと思います。柔道場が少ない・柔道衣が買えない・指導者が少ない・行きたくても移動できない(居住区)などの政治的な問題もあり、簡単には解決できない悲しい現実があります。しかし、そんな状況下でも直向に子供から大人まで一生懸命柔道に取組む姿勢を見ていると、自分自身全力で指導せざるを得ない気持ちになり、各所で全力指導してきました。
 パレスチナ人は豪腕な方々が多かったような気がしますが、まだまだ技を習得するに至ってはおりません。今後、基本的な打ち込み・寝技など習得することにより、強化には繋がると思われますし、日本の役割・出来ることを継続する事が必要不可欠と感じました。
【パレスチナ自治区】

【SIJEバック贈呈】

 【ナブレスでの稽古風景】

 【ナブレスでの集合写真(在イスラエル大使館今鷹一等書記官が柔道見学(中央)】

◆まとめ◆
 この度の派遣期間中にはイスラエルでは富田特命大使・今鷹一等書記官、パレスチなでは大久保関係担当大使など夕食会を開いていただいたりと皆様に大変お世話になりました。 
 また、パレスチナ ナブレスでは柔道見学と安全確保の為に今鷹一等書記官に同行していただき感謝しております。遠い日本から来て、日本人の方々から「おもてなし」を受けると、とても嬉しく感じます。
 

【大久保大使ご招待の夕食会での風景「左から3番目が大久保大使」】
 両国を通じて感じる事は「政治・宗教・文化」の違いで対立しているのは肌で感じます。しかし「柔道」というものが全てにおいてそれを超越しているとも思えます。今回指導を通じて柔道は単なる競技だけではなく嘉納先生の「自他共栄」の言葉通り海外でも活かされていると痛感しました。簡単ではありませんが「柔道・友情・平和」の精  神で、この地で柔道が今以上に発展する事により、より多くのものが得られると感じます。
 この度の派遣に伴い、イスラエルではデビット先生はじめ協会の方々、同時にパレスチナではムハンマド先生はじめ協会の方々には大変お世話になりました。
 また、今回の派遣をさせていただきましたSIJE理事長の山下先生並びにスタッフの皆様方には、この様な貴重な体験をさせていただき、誠にありがとうございました。今後益々の柔道教育ソリダリティーのご発展とご活躍をお祈りしております。

  須貝等